

天皇家の宝物が納められた正倉院には、螺鈿・七宝・銀貼など多彩な技法を駆使し、豪奢を極めた宝飾鏡の数々が収蔵されています。
本号では、正倉院の宝飾鏡の全てを掲載し、関連する作例も交えながら、著者が行った材質調査で得られた最新の情報を盛り込んで紹介しています。
また特別寄稿(正倉院 西川明彦氏)では、正倉院の黄金瑠璃細背鏡(七宝鏡)に焦点をあて、模造製作によって得た知見から七宝の技法や構造について考察します。
宮内庁正倉院事務所保存課長 成瀬正和/執筆、編集
ISBN:978-4-324-08731-2
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●序章
・正倉院宝飾鏡をめぐる研究略史
・隋代以前の宝飾鏡
・正倉院の鏡
・正倉院青銅鏡の科学組成
・唐などの鏡製作地
●螺鈿背鏡
・正倉院の螺鈿
・正倉院の螺鈿背鏡
・正倉院螺鈿背鏡の装飾材
・唐代の螺鈿背鏡の様式
1 正倉院北倉螺鈿背鏡様式
2 正倉院南倉螺鈿背鏡第五号様式
3 李垂墓出土螺鈿背鏡様式(「垂」は「人偏に垂」)
4 中国出土のその他の螺鈿背鏡
●平脱背鏡
正倉院の平脱・平文
1 正倉院の平脱背鏡
2 正倉院平脱(平文)の変遷
3 出土平脱背鏡
4 中国の文献史料に見る平脱背鏡、平脱製品
●銀貼鏡
●七宝背鏡
●おわりに
●参考文献
●特別寄稿
正倉院の七宝鏡について
/宮内庁正倉院事務所保存課整理室長 西川明彦
●図版目録